2026年07月21日
中小企業診断士1次試験 直前期にやるべき全7科目の重点論点【動画公開】
本試験まで、残り2週間を切りました。
この時期になると、多くの受験生が同じ壁にぶつかります。
「まだ手をつけられていない科目がある」
「やることが多すぎて、何から優先すればいいか分からない」
気持ちばかり焦って、机に向かっても手が止まってしまう。そんな状態の方も少なくないはずです。
そこで、超直前期の1ヶ月をどう使えば合格ラインを確実に超えられるかを、全7科目分まとめて解説した講義動画を公開しました。
この記事では、その内容をざっとご紹介します。
この動画は、こんな方に向けています
✔️ 全科目に均等に手が回らず、優先順位に迷っている
✔️ 過去問を全部やり直す時間はもう残っていない
✔️ 「今年、何が出そうか」の当たりをつけて、そこに絞って詰めたい
つまり、知識をゼロから積み上げる段階は終えていて、あとは"整備"と"仕上げ"に入りたい受験生向けの内容です。
逆に言えば、この時期にやるべきなのは新しいことを増やすことではなく、持っている知識を安定させること。動画も、その一点に絞って組み立てています。
動画で話していること(ハイライト)
1. 超直前期の「戦い方」
まとまった勉強時間が取れなくても、得点は伸ばせます。エレベーターの待ち時間、移動中の1分、オンライン会議が始まるまでの数分——こうしたスキマ時間を1問1答で埋めていくやり方を、具体的に紹介しています。
「あと1ヶ月しかない」ではなく、「1日の中にまだ使える時間がこれだけある」と発想を変えるだけで、直前期の景色は変わります。
そして今年は、2日目の中小企業経営・政策がやや手強くなると見ています。ただ、全科目が一斉に難化するわけではありません。7科目でバランスよく取るという原則は、今年も変わりません。
2. 全7科目、今年の重点論点
① 経済学・経済政策
図表問題が中心です。45度線分析は通常のかたちに加えて、令和5年度・2年度で問われた貯蓄・投資図まで押さえておきたいところ。IS-LM分析は、政策効果(クラウディングアウト、流動性の罠)と、投資の利子弾力性・限界消費性向による曲線の傾きの変化が定番です。
需要の価格弾力性は、計算そのものより「分母と分子の比率がどう動くと弾力性がどうなるか」を問う知識問題に注意。外部経済は、私的・社会的限界費用曲線と需要曲線の組み合わせ図から、ピグー税・補助金による是正前後の余剰比較まで。
② 財務・会計
損益分岐点分析(CVP)は計算だけでなく、令和3年度の知識問題を解いておくのが効きます。
設備投資の経済性計算は、昨年度が知識問題だったぶん、今年はNPV・IRRの計算問題が1〜2問戻ってくると読んでいます。ここは配点を取りにいく価値があります。
ポートフォリオ理論は効率的フロンティア・資本市場線(CML)の図の識別、そしてシステマティックリスクとアンシステマティックリスクの区別。デリバティブは先物とオプションが本命ですが、計算よりオプションの価値や損益図の知識問題のほうが取りやすい論点です。
③ 企業経営理論
5フォースは、単純な用語知識ではなく事例に即した構造理解を問う形(令和5年度・7年度など)に変わってきています。
M&Aは買収目的・期待効果と、ポイズンピルなどの買収防衛策。労働基準法は過去論点が繰り返される傾向が強く、労働条件の明示と解雇(特に有期労働契約)を整理しておきましょう。価格設定まわりでは、ダイナミックプライシング、需要の交差弾力性、プロスペクト理論。
④ 運営管理
発注方式は定期・定量・ダブルビンの使い分けと、経済的発注量(EOQ)の公式。標準時間はPTS法、レーティング、余裕率の内掛け・外掛けの計算。
物流センターは在庫型(DC)と通過型(TC)の機能比較と入荷形態の違い。輸送方式は、物流の労働環境問題を背景にモーダルシフト、ローロー船、トラクター・トレーラー方式といった用語の登場頻度が上がっています。
⑤ 経営法務
知的財産権では専用実施権と通常実施権の要件、不実施の場合の裁定。不正競争防止法は周知表示、デッドコピー、そして限定提供データが今年のターゲットです。
組織再編は事業譲渡・会社分割・合併の比較、特に債権者保護手続と簡易組織再編の要件。時効は民法改正後の消滅時効(5年・10年)と完成猶予の要件が、出題サイクル的にかなり手前まで来ています。
⑥ 経営情報システム
アジャイル開発はスクラムの役割・イベント・成果物が必須。IPA試験で頻出の「ベロシティ」も警戒しておきましょう。EVMのCPI(コスト効率指数)・SPI(スケジュール効率指数)の計算は、確実な得点源にしたいところです。
そして今年、特に手を打っておきたいのがAI・機械学習まわりの用語。この科目については、次の章でまとめて扱います。
⑦ 中小企業経営・政策
統計データは、過去問の数値をそのまま覚えないでください。試験範囲となる白書は出版タイミングの関係で少し前のものになるため、該当年版の白書付属統計資料で企業数・従業員数のシェアを必ず確認します。
中小企業基本法は第3条(基本理念)と第5条が本命。税制は資本金基準と、年800万円以下の所得に対する15%の軽減税率。そして、経営強化法(経営革新)は、改善目標が従来の「経常利益」から「給与支給総額」に変わっています。ここは知らないと確実に落とします。
3. 【重要】経営情報システムのAI・機械学習用語
AI関連用語は、言葉の意味を知っているかどうかだけで正誤が決まるタイプの問題として出ます。図も計算も理解も要りません。知っていれば4点、知らなければ0点。直前期にかけるコストに対して、リターンが極端に大きい論点です。
しかも、診断士試験の出題傾向はIPAの試験(ITパスポート、応用情報技術者)を追いかける形になりやすく、そちらではすでに出題が始まっています。今年狙われる可能性は十分にあります。
以下、優先度順に並べます。(動画の1:00:04で紹介しています)
生成AI関連(最優先)
プロンプトエンジニアリング
生成AIからより適切で精度の高い回答を引き出すために、入力する命令文(プロンプト)を工夫・最適化する技術。
ファインチューニング
大量のデータで学習済みのモデルに、特定分野の追加データを与えて再学習させ、特定タスク向けに微調整する手法。「ゼロから学習し直す」わけではない点が識別のポイントです。
IPA試験のトレンドから予想される用語
アノテーション
AIの学習データを作るために、テキストや画像などのデータにタグやメタデータ(正解ラベル)を付与する作業。
バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)
ニューラルネットワークの学習手法。出力結果と正解との誤差を、出力側から入力側へ逆向きに伝えて、ネットワークの重みを調整します。
交差検証
学習用データを分割し、一部を学習に、残りをテストに使う工程を繰り返して、モデルの汎用的な性能を評価する手法。
基礎の3分類(繰り返し問われています)
✔️ 教師あり学習:正解データ(ラベル)を与えて学習させる
✔️ 教師なし学習:正解を与えず、データ自体の構造やパターンを見つけ出す
✔️ 強化学習:試行錯誤を通じて、報酬が最大化される行動を学習させる
タスクの区別
✔️ 回帰:数値を予測する(例:売上予測)
✔️ 分類:あらかじめ決められたカテゴリに分ける(例:メールのスパム判定)
✔️ クラスタリング:教師なし学習で、似たもの同士のグループをつくる
「分類」と「クラスタリング」は、あらかじめ正解のカテゴリがあるか/ないかで切り分けます。ここは選択肢で入れ替えて出されやすいポイントです。
評価指標
混同行列
予測結果と実際の正解をマトリックス形式で表し、モデルの精度を分析するための表。
上記用語の学習方法
これらは、覚えようとするより一度きちんと読んで区別をつけるほうが速い論点です。定義があやふやなものがあれば、生成AIツールに聞いて自分の言葉で整理しておくだけでも十分に間に合います。
オンラインドリルサービス「TANZO®」でも、この動画の公開後に、動画で紹介しているAI・機械学習用語の対策ができる問題を100問ほど追加しました。手間をかけずにさっと確認したいという方はぜひご利用ください。
4. なぜ、この予想に根拠があるのか
直前期になると、あちこちで「今年はこれが出る」という情報が飛び交います。ただ、その中には10年以上出題されていない論点や、実際の傾向を無視したものも少なくありません。それを真に受けて時間を割いてしまうのは、この時期いちばんもったいない失敗です。
ここで挙げた論点は、過去問の徹底的な分析と、実際に問題を作る側の視点から絞り込んだものです。
「受験生時代につまずいた場所を、作問者になった今の目で見直す」
その積み重ねが、この予想の土台になっています。
だから、当てにいくための予想ではありません。外しても後悔しない、筋のいい論点だけに絞っています。
5. 残りの時間の使い方
全部の過去問を解き直す時間は、もうありません。だからこそ、自分の苦手科目と、この記事で挙げた論点。この2つに絞ってください。
やることを増やすのではなく、削る。そのための地図として使っていただければと思います。
なお、同じ内容を動画でも解説しています。文章より聞くほうが頭に入るという方は、そちらもどうぞ。
直前期の"1問1答"を、手元に
冒頭で触れたスキマ時間の1問1答は、TANZOでそのまま実践できます。7科目それぞれ、頻出論点を◯×形式でテンポよく回せるので、移動中や待ち時間の数分がそのまま得点力に変わります。1科目から使えるので、直前期の苦手つぶしにも。
本試験まで、あと少し。やれることは、まだあります。ここまで積み上げてきたものが、当日きちんと出しきれるように。最後の11日間、一緒に整えていきましょう。